令和7年度通常総会が開催されました。
令和7年6月12日(木)午後2時から、東京都中央区のアットビジネスセンター東京駅八重洲通り会議室で72会員事業所(他に委任状138名)出席のもとに表記総会が開催されました。
開会に当たり加藤会長から挨拶があり、その概略は次のとおりです。
1)会員の皆様にはご多用中、全国各地から多数ご参集いただき誠にありがとうございます。2)ご来賓の厚生労働省職業安定局長、JEED理事長には、全障協の事業活動に平素より多大なご理解・ご支援をいただいており、厚くお礼申し上げます。3)全障協は昭和56年その前身である「重度障害者多数雇用事業所協議会」を結成し、平成元年に「社団法人全国重度障害者雇用事業所協会」となりました。4)当協会は、多数の重度障害者を雇用している事業所の経験と実績のうえに立って関係機関の支援のもと、重度障害者雇用の促進と職場定着の推進を図るための調査研究、関係機関・団体等に対する情報の提供や啓発及び相談援助を行うことを目的としてつくられました。5)皆様には、厚生労働省からの委託事業やブロック会議等にご協力いただき、この目的に沿って日々活動いただいております。さらに、全障協在り方委員会や政策委員会で具体的にどのように皆様方のお役に立てればよいのか検討しておりますので、引き続きご協力を賜りますようお願いいたします。6)また、JEEDの事業では、障害者雇用支援月間における障害者雇用優良事業所等の表彰や全国アビリンピックに多くの会員に参加いただき、障害者ワークフェアにも全国から多数の会員に出展いただいています。7)このように、障害者雇用の第一線の声を聞いて施策に反映していただくことや、全障協の取組を広める機会を提供いただくことは、たいへんありがたく、本日お見えのお二方のお力添えの賜物であり厚くお礼申し上げます。8)さて、お手元の「事業報告」にもありますように、昨年度1年間を振り返ると、コロナ禍の沈静化に伴い、全障協の活動も軌道に乗ってきた一方で、物価の上昇等により皆様方それぞれ会社経営でご苦労されたのではないかと思います。我々は一般の障害者雇用事業所ですので、まず、経営の安定による企業の存続があって障害者雇用を行っているのであり、そうした日頃の悩みや考え方についての意見交換の場として、会員の皆様のご要望を受けて本日はいくつかのテーマを設定したグループディスカッションを実施することといたしました。グループディスカッションの結果を報告いただき、それも踏まえて厚生労働省に障害者雇用施策要望を行っていきたいと思っています。皆様のご協力をいただければ、本来の目的を達成する力と経験が全障協には十分にあると思います。9)また、総会が終わりますと、各ブロックで年2回のブロック会議やセミナーを実施してまいります。そうした場で皆様方の意見を吸収して施策にのせていかなければならないと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
〔挨拶する加藤 会長〕
〔令和7年度通常総会の模様〕
加藤会長の挨拶の後、来賓としてご臨席いただいた厚生労働省職業安定局長の山田雅彦様と、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)理事長の輪島忍様からご挨拶をいただきました。
まず、山田職業安定局長から、概略、次のお話がありました。
1)貴協会役員、会員の皆様には日頃から障害者雇用施策の推進にご理解・ご協力を賜り心より感謝申し上げる。また、貴協会は設立以来、長年にわたり重度障害者をはじめとする障害者雇用を積極的に推進するとともに、職場定着に関するノウハウを培い障害者雇用の啓発・促進に努めてこられたことに改めて敬意を表する。2)わが国の障害者の雇用状況を見ると、令和6年の障害者の雇用者数が約68万人と21年連続で過去最高を更新した。又、令和6年の実雇用率は2.41%とこちらも13年連続で過去最高を更新し、障害者雇用の状況は一層進展している。3)これらの実績は、貴協会会員をはじめとする企業の皆様の熱意と努力の賜物と考えており改めて感謝申し上げる。4)厚生労働省としては引き続き、障害者の雇用機会の確保を更に進めることに加え、雇用の質の向上に取組んでいくことが重要と考えている。5)令和6年4月から民間企業における法定雇用率が2.5%に引き上がり、令和7年4月には除外率が10ポイント引き下げられた。更に令和8年7月には法定雇用率の2.7%への引上げが予定されている。6)このような動きのなかで厚生労働省としては、ハローワークで実施する「企業向けのチーム支援」を引き続き進めていくとともに、施行された納付金助成金の拡充等の着実な実施を図ることなどにより、雇用の質にも配慮した障害者雇用の取組を引き続き支援してまいりたいと思っている。7)さらに、令和4年12月に成立した改正障害者雇用促進法に関して
- 雇用の質の向上のための事業主の責務の明確化
- 事業主が取り組む職場環境の整備や能力開発のための措置等への新たな助成措置
- 多様な就労ニーズを踏まえた働き方に向けた週10時間以上20時間未満で働く重度の身体・知的障害者や精神障害者の実雇用率の算定
等の内容が昨年4月までにそれぞれ施行されている。8)これに加えて、昨年12月から今後の障害者雇用のさらなる促進のための制度の在り方等を検討し、適切な政策を講じていくため、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開始している。障害者の雇用の質の向上や雇用率制度について関係者の意見をうかがいつつ本年中を目途にとりまとめを行う予定にしている。貴協会にもヒアリングにおいてたいへん貴重な意見をいただきお礼申し上げる。9)こうしたことにより、障害のある方一人一人がその障害特性や希望に応じ能力等を発揮し活躍できる環境整備に取組んで参りたいと考えている。10)貴協会におかれては、今年度も合理的配慮の提供や雇い入れ、職場定着等についてノウハウの提供や相談支援を行う委託事業を実施いただいている。引き続き本事業の推進を通じ障害者雇用に取組む企業に対し雇用の質の向上にも配慮した取組みが進むようご支援いただくとともに、障害者雇用政策へのご理解、ご支援をいただきますようお願い申し上げる。
11)最後に、貴協会及び会員の皆様の益々のご発展、ご活躍を祈念申し上げて私の挨拶とさせていただく。
〔山田 職業安定局長のご挨拶〕
続いて、輪島理事長からは、概略、次のお話がありました。
1)日頃からJEEDの事業にご理解・ご協力をいただいていることに改めてお礼申し上げる。全障協は障害者雇用の草分け的な存在であり、皆様の障害者雇用に対する献身的なご貢献に深く敬意を表する。2)障害者雇用促進法の改正で、企業実務としては、雇用の質を向上させなければならない一方、法定雇用率が引き上げられることによって雇用の量を確保しなければならず、除外率が引き下げられることでもう一段踏ん張らなければならない環境下にあると思う。3)こうしたなかで、JEEDとしては、企業在籍型ジョブコーチとか障害者雇用納付金に基づく助成金などを実施している。なお、今年度から、助成金についてはオンライン申請ができるようになったので、申請の効率化を図っていきたいと考えている。4)障害者雇用支援人材ネットワーク事業についても日頃からたいへんお世話になっており、障害者雇用管理サポーターを多数派遣いただいていることに改めて感謝申し上げる。5)本年10月に全国アビリンピックを開催するが、ご注意いただきたいのは、例年の11月ではなく1か月早くなり、10月18日に愛知のスカイエキスポで開催するということである。全国アビリンピックと併せ障害者ワークフェアを開催しており、これも全障協の会員の皆様から多数ご参画いただいており改めてお礼申し上げるとともに、今年もご協力いただきますようお願いする。6)2027年5月にフィンランドで国際アビリンピックが開催されることになっている。地方アビリンピック、全国アビリンピックを経て国際アビリンピックに臨むというホップ、ステップ、ジャンプの3段階方式をとっており、今年の第45回アビリンピック自体が国際アビリンピックに出場する選手の選考会となる。ここで代表選手になると1年間、競技種目についてJEEDがサポートし準備したうえで2027年の国際アビリンピックに出場することになる。皆様の会社で所属の社員・職員が全国アビリンピックに出場するということであれば、是非、背中を押していただき国際アビリンピックに出場できるようサポートしていただけるとたいへんありがたい。7)いずれにしても、助成金や雇用管理サポート事業さらにはアビリンピックなどで全障協会員の皆様にはたいへんお世話になっていることに改めてお礼申し上げるとともに、是非とも事業の中身についてご理解いただき引き続きご協力いただくようお願いする。最後に、本日ご出席の皆様の益々のご健勝と企業のご発展を祈念して挨拶とさせていただく。
〔輪島 JEED理事長のご挨拶〕
来賓のご挨拶の後、澁谷副会長が議長に選出され、議案の審議が行われました。当日審議された議案は、令和6年度事業報告(第1号議案)、令和6年度決算報告及び監査報告(第2号議案)、令和7年度事業計画(案)(第3号議案)、令和7年度収支予算(案)(第4号議案)、令和8年度障害者雇用施策に関する要望事項(案)(第5号議案)、全障協慶弔規程(案)(第6号議案)であり、いずれも全会一致で了承されました。
これらの議案のうち、第1号議案から第4号議案までの資料は、全障協ホー ムページのメニュー欄「情報公開」をクリックするとご覧いただけます(項目3〜10)。また、第5号議案の令和8年度障害者雇用施策に関する要望については、 こちらをクリックするとご覧いただけます。
〔議長を務める澁谷副会長〕
〔監査報告を行う森田 監事〕
通常総会の議事終了後、障害を克服し旺盛な勤労意欲をもって優秀な勤務成績をおさめられた方に対する表彰(優秀勤労障害者)のお披露目があり、続いて出席者が8グループに分かれてグループディスカッションが行われました。このグループディスカッションでは、下記6つのテーマの1つについて現状や課題、対応方法等について話し合っていただき、終了後に全員が集合したうえで各グループの代表者が登壇してディスカッションの模様について報告が行われました。各グループでは日頃の困り事や課題解消に向けた取組等について活発な意見交換が行われ、参加者からはたいへん好評をいただきました。
- 障害者の加齢への対応について
- 職域拡大、職業能力開発、処遇改善等のキャリア形成支援について
- 障害者、就労支援者の人材確保について
- 精神・発達障害者の雇用管理について
- 雇用率制度における就労継続支援A型事業所の位置付けについて
- いわゆる障害者雇用ビジネスの影響について
最後に、加藤副会長からグループディスカッションの講評も含め閉会の挨拶があり全日程を終了しました。
〔挨拶する加藤 副会長〕
通常総会後には、総会会場近くの鉄鋼会館において懇親会が開催されました。出席者は約60名となるとともに、厚生労働省職業安定局の障害者雇用対策課長にも出席いただきたいへん盛会となりました。