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ミニ情報通信

関東甲信越ブロック障害者雇用特別セミナーが開催されました。

令和5年11月7日(火)午後1時15分から、標記セミナーが田沼全障協理事の司会進行のもとオンラインで開催されました。

このセミナーは、全障協が厚生労働省から受託している「障害者に対する差別禁止・合理的配慮等に係るノウハウ普及・相談支援事業」の一環として開催されたものです。

最初に全障協の加藤会長から開会の挨拶があり、その概要は次のとおりです。

1)多くの皆さまに本セミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。昨今の円安や原材料の高騰など依然として経営環境は厳しく、皆さまには、障害者の雇用維持・促進にも課題が多いものと存じます。本日のセミナーが、そうした課題解消の一助となればと願っております。

2)全障協は、本年度で設立35年目を迎えました。その間、全重協から全障協への団体名の変更など、障害者雇用を取巻く状況に即した歩みを進めてまいりました。

3)一方、国の障害者雇用施策についても、雇用の質の向上などを趣旨とした改正障害者雇用促進法等が昨年12月に公布され、また、法定雇用率が令和6年4月、令和8年7月と段階的に引上げられるなど、大きな転換点を迎えております。

4)こうした中、全障協の目的である障害者の雇用促進及び職場定着の推進のため、一層効果的な事業展開を図ってまいりたいと考えております。

5)全障協は、一般企業、特例子会社、就労継続支援A型事業所など多様な全国327会員(令和5年6月末現在)からなっており、特定の分野に特化していない唯一の全国団体です。このため、障害者雇用に関する様々な情報・ノウハウの提供や企業見学等について1団体で対応できるという特色を持っております。

6)平成29年度からは、厚生労働省から合理的配慮に係るノウハウの普及等を目的とした事業を受託し、全国7主要都市に障害者雇用相談コーナーを設置しています。コーナーには専門相談員を配置し無料で相談支援を行っておりますので、気軽に活用いただければと思います。

7)本日のセミナーもこの厚生労働省からの受託事業の一環として全障協が開催するものであり、今後の障害者雇用に活かしていただければと期待しています。

開会挨拶に続いて、株式会社エフピコ常務取締役の西村公子様から「続ける力をともに重ねて未来へと〜障がいのある人材のキャリアを考える〜」と題してご講演をいただきました。その概要は、次のとおりです。(西村様のお話の詳細はこちらの資料をご覧ください。)

1)当社は1962年設立の簡易食品容器(食品トレイ)のメーカーであり、障がいのある人材は、製造、リサイクルで活躍している。障がいのある人材が主力であるグループ会社として特例子会社のエフピコダックス梶A就労継続支援A型事業を行うエフピコ愛パック鰍ェある。

2)グループ会社30社全体の障がい者雇用人数は365人で、うち約7割が重度の障がいがあり、実雇用率は12.5%(2023年3月現在)である。障がい種別では、知的障がいが9割となっている。

3)経営として成り立つ障がい者雇用を行う、すなわち、しっかり戦力化してきちんと利益を上げる存在になるからこそ雇用を継続することがでいるとの考え方のもと、1986年から障がいのある人材の雇用を始めて今に至っている。

4)業務拡大に伴い障がいのある人材の職域が広がり、2021年からは特例子会社、就労継続支援A型事業だけではなく、グループ内での一般就労への移行が実現した。

5)障がいのある人材とともに働く基本姿勢としては、まず、障がいに対する受容と共感、あるがままに受け入れ、その人の力でどうすればできるようになるか考え、それがその人ならではの仕事に繋がっていくということである。また、同僚、人間として同じ目線に立ち本人がわかるように話し、指導すること。注意してもできない場合もあるが、そうした時は伝える側に問題があるのではないかとまず考える。

6)さらに、仕事をするという緊張感も必要であり、また、不平、不満、疑問などは小さいうちに早期対応で解決する、社会人として自立するためのきめ細かな指導を家庭、支援者と連携して実施することも必要である。

7)こうした基本姿勢のもと、企業が行うべき究極のいきつくところは、働きやすい職場環境の整備と毎日の積み重ねだと考える。これは、障がいの有無にかかわらず、企業が取組む必要があることではないか。

8)キャリア形成の支援については、就労継続支援A型事業から、グループ会社での一般就労や特例子会社での就労に移行するケースの一方で、加齢などにより特例子会社から就労継続支援A型事業に移行し若手のステップアップを支援する立場となっているケースがある。エフピコグループとしては、後者のような尊厳ある労働市場からのゆるやかなフェードアウトも含めたキャリア形成を支援する存在でありたいと考えている。

9)キャリア形成支援という観点から、計画相談をはじめとした地域の関係機関とのネットワークによる支援が望まれる。障がいのある人材の雇用はキャリア形成支援という考え方で行うという段階に入って来たと思っている。

10)ダイバーシティ経営は、多様な人材を集めただけでは不十分で、インクルージョン=多様な個性を認め合って1つの方向を目指していくという企業風土があってこそ活きてくるのではないかと考えている。

11)その具体的な取組みの1つとして、障がいのある人とない人が混在してチームを編成するフロアホッケー活動を行っている。また、年4回発行する社内報「FP COnnect」には障がいのある人材の記事を必ず掲載している。

12)エフピコグループの障がいのある人材の雇用、活躍に対するテーマは「続ける力」である。簡易食品容器のメーカーとして、社会に役立つ製品をお届けすること、障がいの有無に関わらず社員ひとり一人がイキイキと働くことができる企業であること、そんな当たり前のことを当たり前に実現するために、努力と挑戦をし“続ける力”をつないで、未来へと進んでいきたいと考えている。

西村様の講演に続いて、エフピコ愛パック株式会社(就労継続支援A型事業)佐賀工場 工場長の福山和幸様から、キャリア形成支援の事例として次の具体的なケースについて紹介いただきました。

・ 就労継続支援A型事業からグループ会社(物流)へ
・ 就労継続支援A型事業からグループ会社(特例子会社)へ
・ グループ会社(特例子会社)から就労継続支援A型事業へ
・ 就労継続支援A型事業からグループ外の一般企業へ

事例報告の後、参加者が小グループに別れて意見交換・経験交流を行うグループディスカッション、次いで最後に、講師の方々に対して質疑応答が行われました。質疑応答では、障がい者の雇用管理に係る社員教育の方法、企業としての生活面への関わり方、支援機関との連携の在り方、職域開発の方法など多岐に渡って質問が行われました。