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ミニ情報通信

関東・甲信越ブロック障害者雇用特別セミナーが開催されました。

 去る2月7日(水)午後1時から、中央大学駿河台記念館370会議室(東京都千代田区)において、標記セミナーが開催されました。
 このセミナーは、「あなたの会社で障害者を活かす」というテーマで、厚生労働省の委託により開催されたものです。
 当日は、まず最初に、当協会の栗原会長から開会のあいさつがあった後、「障害者を企業の戦力として活かしていくために」と題してパネルディスカッションが行われました。
 パネルディスカッションは、横浜市立大学国際総合科学部教授・CSRセンター長の影山摩子弥様がコーディネーターとなって進められましたが、影山様からは、「経営戦略としての障がい者雇用」と題してパネルディスカッションの基調となるプレゼンテーションが行われ、「企業が雇用した障がい者を戦力化して、健常者の社員と一緒に仕事をするようにすると、ダイバーシティによるシナジー効果により企業の業績がアップする」というお話がありました(影山様のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい)。
 その後、各パネリストからプレゼンテーションがあり、まず最初に、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センターの岩佐美樹様から「障害者の力をいかしている職場〜様々な職場で活躍する障害者〜」と題してプレゼンテーションがあり、「障害者を雇用しない理由として、障害者に適した業務がないということを挙げる企業は多い。しかしながら、「障害者に適した業務」ではなく、「障害のあるAさんに適した業務」は何か、そして、それを行ってもらうために必要な配慮や工夫は何かという視点で考えていくことにより、障害者の能力発揮、キャリア形成を支援することができる」ということについて、事例をもとに説明していただきました(岩佐様のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい)。
 次に、同じく神奈川障害者職業センター所長の宮崎哲治様から、「『障害者を雇用してよかった』と思える取り組みを支える支援(採用から雇用管理までの支援について)」と題してプレゼンテーションがあり、「障害者の就職支援は、昔は就職に必要な能力を障害者が身に付ける『靴』に『足』を合わせる支援であったが、最近は、障害者が力を発揮できる職場環境を作り、障害特性を理解し、指導体制を構築する『足』に『靴』を合わせる支援に変わってきている」というお話をいただくとともに、障害者雇用に係る地域の就労支援ネットワークや障害者職業センターの事業主支援についても説明していただきました(宮崎様のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい)。
 宮崎様の後は、障害者を雇用している企業のお立場から、株式会社ワイズ・インフィニティ代表取締役社長の山下奈々子様からプレゼンテーションがあり、「最初からフルタイムで頑張るという精神障害者を雇用したら1週間で調子を崩してしまったが、出勤日数や勤務時間を減らしたら調子を取り戻して、現在ではうまく職場に定着して元気に働いている」というお話をいただきました(山下様のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい)。
 山下様の後は、最後に、障害当事者のお立場から、就労継続支援B型事業所TERRAサービス管理責任者の高橋美久様から、「人を活かす、人が生きる社会へ〜当事者の立場から〜」と題してプレゼンテーションがありました。高橋様は、統合失調症によりこれまで3回入院されたことがありますが、デイケアや疑似就労グループを通じて働くことの楽しさをお知りになり、その後ピアサポーターを経て、現在は上記のとおり就労継続支援B型事業所のサービス管理責任者として活躍しておられます。高橋様からは、「企業で働いてお金をもらうのに、症状の良い、悪いは関係ない」「しかし、障害者の特性を知ってもらい、共に働く人と見てもらいたい」というお話がありました(高橋様のお話の詳細についてはこちらの資料をご覧下さい)。
 以上が、パネルディスカッションの概要ですが、パネルディスカッションの後は、今度はその内容を踏まえて、参加者が5〜6人のグループに分かれてグループディスカッションを行いました。このグループディスカッションでは、参加者が日頃の問題意識等をぶつけ合って1時間近くに渡り熱心な議論が行われました。
 また、グループディスカッションでは、パネルディスカッションの内容について参加者から様々な質問が出てきましたので、今度は、パネルディスカッションのコーディネーターや各パネリストがそれに答える形で、インタラクティブ・ダイアログが行われました。
 このインタラクティブ・ダイアログでは、「そもそも何故障害者を雇用したのか」「給料をもらう以上は休まないというところまで障害者の意識を高めるにはどうしたらいいか」「精神障害者の就労がいつまでたっても安定しないが、どうしたらいいか」といった突っ込んだ質問も出されましたが、各パネリストからそれぞれの経験を基に当意即妙な回答が行われました。
 今回のセミナーについては以上ですが、単に法定雇用率を達成するために障害者を雇用するのではなく、企業の中で障害者を戦力として活かすという視点は、障害者を雇用したことがない企業が障害者雇用に取り組む更なるインセンティブになるのではないでしょうか。