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ミニ情報通信

令和2年度九州・沖縄ブロック障がい者雇用特別セミナーが開催されました。

令和2年10月22日(木)午後1時30分から、標記セミナーがオンラインで開催されました。

このセミナーは、全障協が厚生労働省から受託した「障害者に対する差別禁止及び合理的配慮に係るノウハウ普及・対応支援事業」の一環として開催されたものです。

全障協の栗原会長による開会のあいさつは、WEB上に文書を掲載することにより行われ、その概略は次のとおりです。

1)新型コロナウイルス感染症の影響下にあって、皆様には、障害者の雇用促進・維持や感染予防対策等にたいへんご苦労さてれいることと拝察する。新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息をお祈りする。2)全重協は本年4月1日から全障協に名称変更し新たなスタートを切った。引き続き、ご理解・ご協力をお願いする、3)厚生労働省からの受託事業として、本セミナーの他に、全国7か所に設置した障害者雇用相談コーナーにおいて相談支援を実施している。是非、気軽に活用いただきたい、4)本セミナーでは、新型コロナウイルス感染症の影響下にある現況を踏まえたテーマを設定しているので、是非参考にしていただきたい。

次いで、(株)ヒューマンリソース・デベロップメント代表取締役の清永誠様から、「コロナ危機への対応」とのテーマで講演いただきました。その概略は次のとおりです。1)新型コロナウイルス感染予防でマスクの着用、オンライン会議、置き配・テイクアウト等が当たり前なニューノーマル(新常態)になりつつあり、これを期に伸張するベンチャーが現れるだろう、2)少子高齢化の中で、多様性に向きあうことが重要となり、ダイバーシティを肯定し経営に活かす組織が求められる、3)障害者雇用のポイントは、思い込みを持った面接・採用を行うのではなく、作業環境に配慮することにより健常者と同じように採用できるということである、4)経営者は人材を育むことが使命であり、その実現が未来の業績を決める、5)経営を通じて社会貢献を実践することで、社員が職場に誇りを持つことができ、それが会社の価値とみられて仕事が集まってくる、といったお話がありました。(清永様のお話の詳細はこちらの資料をご覧ください。)

講演に引き続いて、ATUホールディングス(株)の中嶋大空様から、「私の仕事」と題して視覚障害についての事例報告が行われました。その中で、1)見えない弊害をいかに取り除くかが重要。例えば、随所に鈴などの目印や点字を設ける、ロービジョンの方のためには、フォントの拡大、見やすい照明・窓の位置に配慮するなど、2)皆様が最も不安に思われるのは「通勤」であると思われる。白杖などを用いた歩行訓練を受けているが、人によって得意不得意がある。原則就職・入所が決まったら事前に歩行訓練を数度実施しているので基本的には問題ない。もし、訓練を重ねても危険と思われる場合にはガイドヘルパー等の公的支援を受けるなどの対策を講じる必要がある、3)新型コロナウイルス感染拡大により、個々のセキュリティ意識が高まるなかで、適切な援助が受けづらくなり、視覚障害者が安全に外出できない状況となっている。社会全体のご理解・ご支援をお願いする、4)社会を変えるのは障害者自身であり、能動的に声をあげ、チャレンジして実績をつくっていくことが、社会を動かすきっかけとなる、4)多様な働き方を築き上げていくことで、障害者の自立が実現するのであり、そのためには、例えば、障害実態に即した教育訓練により将来の選択肢を増やすことなどが重要、といったお話がありました。(中嶋様のお話の詳細はこちらの資料をご覧ください。)

事例報告の後には、講師の清永様、福岡労働局職業安定部職業対策課障害者雇用担当官の小松真一郎様及び田中九州・沖縄ブロック長をパネリストとして、「私達が取り組む障がい者雇用」と題したパネルディスカッションを行いました。

まず、小松様から最近の障害者雇用について、1)障害者の雇用数は16年連続で過去最高を更新し、実雇用率2.11%となっているが、雇用率達成企業割合は48%にとどまっている、2)ハローワークの紹介による就職件数も11年連続で増加し、10年前の2倍以上になっており、中でも、精神障害者の就職件数がほぼ半数を占めるようになった、3)新規求職申込み件数は、新型コロナウイルスの影響で、全国では4月から、福岡県では5月から落ち込みをみせている、4)障害者の解雇者数は全国ベースでは本年2月〜8月25.6%増となっているが、福岡県内については大きく増えていない、5)雇用調整助成金について、雇用保険被保険者以外も対象とする、助成率や支給上限額を引き上げる等の特例措置を設けており、その期限が12月末まで延長された、6)来年3月1日から法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられることに伴い、対象範囲の従業員規模も43.5人以上となることから、ハローワーク等の関係機関によるチーム支援を推進していくこととしている、といったお話がありました。(小松様のお話の詳細はこちらの資料をご覧ください。)

続いて「障害者の雇用維持のためにどのような方策がとられているか」、「雇用についての障害者の不安をどのように無くすか」、「実雇用率を悪化させないためにどのような方策があるか」について、福岡雇用相談コーナーの西村相談員のコーディネートのもとパネリスト間の意見交換が行われました。

最後に、全体の質疑応答として、「注意欠陥多動性障害のある社員への支援のあり方」、「障害者を複数採用した場合、障害者のみで業務グループを編成すべきか、健常者との混成にした方がよいか」、「障害者と支援者の比率はどのくらいが適切か」についてやり取りが行われました。

セミナーの終わりに、田中九州・沖縄ブロック長から閉会のあいさつとして、1)はじめてのリモートによるセミナーであり、次回はさらによいものを目指す、2)障害者雇用はハードルが高いように見えるが、やってみれば意外とうまくいく、3)企業経営は利益面も重要であるが、障害者雇用はそういった面でもメリットが大きい、4)福岡相談コーナーの活用をお願いする、といった話があり、2時間30分にわたる全障協としては初めてのオンラインセミナーを終えました。