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ミニ情報通信

令和元年度第1回通常総会・全重協設立30周年記念総会が開催されました。

 去る6月18日(火)午後2時から、機械振興会館(東京都港区)において、標記総会が開催されました。 

 当日は、まず最初に、栗原会長から挨拶があり、1)全重協としてかねて国に要望していた不動産取得税や固定資産税の軽減措置の適用期限の延長が関係の皆様のご尽力により実現した、2)厚生労働省から受託した全国7ブロックに相談コーナーを設ける等の事業についても、会員の皆様のご支援、ご協力により今年で3年目を迎えた、3)こうした事業の実施により全重協の知名度も高まり、正会員も300を超えるに至った、4)設立30周年を迎えるに当たり、全重協の名称も見直していきたいといった話がありました。


挨拶する栗原会長

 栗原会長の挨拶の後は、来賓としてご臨席いただいた厚生労働省職業安定局長の土屋喜久様と、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長の和田慶宏様からご挨拶をいただきました。
 まず、土屋局長からは、1)設立以来30年間に渡って障害者の雇用の促進と職場定着の推進に取り組んでこられた全重協の皆様に敬意を表する、2)私自身もこれまでたびたび障害者雇用対策を担当する機会に恵まれ、全重協の皆様とは、大山元会長や東出前会長の時代も含め、障害者の雇用について一緒に議論させていただいた、3)現在も精神障害者の就労パスポートや公務部門における障害者雇用の問題でご協力いただいている、4)全国のハローワークを通じた昨年度の障害者の就職件数は約10.2万件と、10年連続で増加、5)民間企業に雇用されている障害者の数も昨年6月1日現在で約53万人と15年連続で過去最高を更新、6)実雇用率も2.05%と7年連続で過去最高となっている、7)その一方で、多くの国の機関で障害者雇用が不足していたことは極めて遺憾、8)今後は、今国会で可決成立した改正障害者雇用促進法に基づき、国の機関が名実共に民間に対して率先垂範できるようにしていきたい、9)今回の法改正では、民間企業に対しても、週20時間未満の雇用障害者数に応じて特例給付金を支給する仕組みが設けられるとともに、障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度が創設されることになった、10)こうした取組を通じ、障害者の雇用が更に拡大するようにしていきたいとのお話がありました。


土屋職業安定局長

 また、和田理事長からは、1)これまで30年間に渡り重度障害者の雇用に熱心に取り組んできた全重協のノウハウと実績に敬意を表する、2)この30年の間に、障害者雇用促進法も改正され、雇用率制度が見直されるとともに、障害者に対する合理的配慮や差別禁止の規定が設けられるなど、障害者の雇用を取り巻く環境も大きく変化した、3)これに伴い、障害者雇用に対する事業主の意識や障害者の就労意欲も高まり、障害者の雇用機会も拡大している、4)こうした中で、全重協が好事例を示すことが、障害者雇用の推進に役立ってきた、5)協会と機構は、長きにわたり緊密な関係を構築してきた。現在も、障害者雇用支援人材ネットワーク事業や障害者ワークフェア等機構の行う事業に協力していただき、感謝申し上げる、6)障害者の自立と共生社会の実現に向けて引き続きご支援、ご協力をお願いするとのお話がありました。


和田 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長

 来賓のご挨拶の後は、全重協設立30周年を記念して、人を大切にする経営学会会長の坂本光司様からご講演をいただきました。

 坂本先生がお書きになられた「日本でいちばん大切にしたい会社」という大変有名な本の中には、全重協初代会長である大山泰弘氏の日本理化学工業株式会社を始め、多くの全重協会員企業が取り上げられていますが、当日は、1)物事には、目的と手段とその結果があるが、世の中には、目的と手段を勘違いしている企業も多い、2)企業の目的は、その企業に関係するすべての人を幸せにすること、3)とりわけ大切なのは、社員とその家族、社外社員とその家族、現在顧客と未来顧客、地域住民(特に障害者や高齢者等の社会的弱者)、出資者・関係機関の5人、4)業績や利益は手段だが、企業の目的と誤解されている、5)昨年6月1日現在の障害者の実雇用率は2.05%と、初めて2%を上回ったが、依然として法定雇用率の2.2%を下回っている、6)法定雇用率未達成の企業の割合も54%と、半数以上の企業が法定雇用率を達成していない、7)全体の3分の1もの企業が障害者を1人も雇用していないことも問題、8)福島の潟Nラロンという会社は、従業員約150人のうち50人が障害者。精神障害者や知的障害者も含め、あらゆる種類の障害者を雇用している。しかも、全員が無期雇用の正社員。最賃の減額申請もしていない、9)福岡県の鰹痰ェい者つくし厚生会という会社は、従業員45人のうちほぼ全員が正社員。そのうち約40人が障害者。精神障害者や知的障害者、重度の障害者も含め、月給が20万円以下の人はいない。中途退社もない、10)鹿児島に、ラグーナ出版という会社がある。この会社は、精神障害者が働く喜びを感じられるようにするため、ある精神科医が病院をやめて作ったもの。ここで働く障害者から「いつの日か私たちが働いているラグーナ出版を是非訪問してください。そして私たちの会長さんや社長さんたちをほめてあげてください」という手紙をもらったときは、本当に涙が出た、11)岐阜に潟Eエルテクノスという会社がある。この会社は、私の大学院の教え子が作ったもの。この人は、会社で働きたいという希望を持っており、15社以上の面接を受けたが、病気(障害)のためにいくら入社試験の成績がよくても採用されなかった。この会社は、昨年障害者に4か月分のボーナスを出すまでになっている、12)台湾に小籠包で有名な会社があるが、ここの従業員は障害者も含めて全員正社員。ここでは、従業員に自分で仕事を選んでもらい、好きなことや得意なことをやってもらうようにしている、13)障害者を雇用していない会社のいいわけとして「障害者にやってもらう仕事がない」という話をよく聞くが、私から見れば仕事はいくらでも作れる、14)新潟県の燕市に従業員約150人の鉄工場がある。ここでは、近くにある障害者施設に月1回社員食堂を解放し、ケーキや焼き菓子を売ってもらっている。1回の売上は約10万円ということであるが、B型の工賃が約1万5千円であることを考えれば結構な売上となっている。こうした形で、障害者に働く場を提供する「みなし雇用(間接雇用)」も重要、15)障害者の雇用を拡大するために、「人を大切にする経営学会」を設立し、いい会社を顕彰するために「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を創設した、16)大賞の審査基準の一つは「過去5年間、障害者の法定雇用率を達成していること」。法定雇用率の対象とならない従業員45.5人未満の企業については、間接雇用により、障害者が働いている施設等に法定雇用率分の仕事を発注すればよい、17)審査の基準には、このほか「雇用している社員の50%以上が正社員」「最賃の減額申請をしていない」「障害者の職場定着率90%以上」といったようなことがある。一次審査の基準50項目のうち2割近くが障害者に関するものとなっている、18)ドイツやフランスの法定雇用率は5%から6%。中国、台湾も2%程度となっている中で、日本の法定雇用率は現状のままでいいのか、19)特例子会社のみの障害者雇用も問題。障害者が本社と特例子会社を往き来できるようにすべきではないかといったお話がありました(先生のお話についてはこちらのレジュメをご参照下さい)。


坂本先生

 坂本先生のご講演については以上ですが、当日は、この後10分間の休憩を挟んで議案の審議が行われました。
 議案の審議に当たっては、加藤副会長が議長に選出され、その議事進行の下に審議が行われました。
 当日審議された議案は、平成30年度事業報告(第1号議案)並びに決算報告及び監査報告(第2号議案)、令和元年度事業計画(第3号議案)及び収支予算(第4号議案)、全重協の名称について(第5号議案)、令和2年度障害者雇用施策に関する要望(第6号議案)、役員改選(第7号議案)の7つですが、いずれも全会一致で承認されました。
 これらの議案のうち、第1号議案から第4号議案までの資料は、当協会HPのメニュー欄の「情報公開」のところをクリックしていただくと、ご覧いただけます(項目3〜10)。
 また、第5号議案の全重協の名称については、来年度から全重協の正式名称を「公益社団法人全国障害者雇用事業所協会」とし、略称も「全障協」とすることが決まりました。
 さらに、第6号議案の令和元年度障害者雇用施策に関する要望については、こちらをクリックして下さい。
 また、第7号議案の役員改選については、近畿ブロックの大谷理事の退任に伴い、その後任として叶重ハートフルサービス取締役の澤田敏夫様が選任されました。
 議案の審議については以上ですが、このほか、当日は、会員企業で働く優秀勤労障害者に対して、栗原会長から表彰状が贈呈されました。